大学時代の記憶

浪人を経て大学に入学した頃だろうか。
白い悪魔の気配がパタッと消え、清々しく感じた。

駐輪場で悪魔の自転車を見かけなくなったことや
駅でもその姿を見かけなくなったせいかもしれない。
ようやく悪魔が消えてくれたことを明白に実感した。
それから二十代の間は悪魔のことはキレイさっぱり忘れることになる。

しかし人格的にすっかりおかしくなった僕の大学生活が上手く行くわけでもなかった。
何事にも関わらないノンビリとした、面白味の欠片もない学生生活。
そんな大学の主だった記憶と言えば・・・


①債権各論というワナ
「債権各論」というのは契約等に関する民法の一編だが
抽象的でわかりにくい民法典の中にあって身近で具体的な話に即して学べることから、
法律初学者にとってとっかかりやすい分野とされていて、
法学部一回生から受講出来る専門課程の必修科目だった。

当時、「債権各論」を担当していたのはスラッとした美人風の助教授。
ホントは東京のほうの研究者だが、何故かこっちに流れて来ていた。
女性が独身だと部屋を借りることがいかに大変か切々と語っていた。

シュッとした美人で語り口もさわやかで知性と威厳のバランスが程よく
法学一回生たちにも優しく「債権各論」を手ほどきしてくれる・・・などと思いきや、
これがワナだった。

法学部の教員って厳しい人が多そうなイメージがあるかもしれないけど
実はそうでもなくて、厳しい人はやたら厳しいけどそういう人は一握りでしかない。

その一握りの、やたら厳しい女性教員が債権各論を担当していた、ただそれだけのことだ。
そのやたらが鬼のように厳しかった、ただそれだけのことだ。

講義中は怒ることもなくいつも穏やかなのだが
いざテストとなると鬼に豹変した。

とにかく単位をくれません。

「(旧)司法試験合格レベルの答案を書いたらA(優)をあげます」
いや、C(可)でいいのに、Cすら貰えないから。

法学部に入ったばかりで浮かれ気分の一回生たちは単位落としまくりで
「債権各論」の単位を一発で取れた学生のほうが少なかった。

「債権各論」のワナにかかって法律が苦手になる法学部生が続出したのではないか?
少なくとも僕はその一人だった。


②法学部長
法学部長でもあった教授も鬼教官の一人だった。
そしてまた民法の研究者だった。
一握りの厳しい教官が二人も民法にいる。
これで民法が苦手になる法学部生が続出したのではないか。
少なくとも僕はその一人だった。

債権各論の女性助教授はテストでは厳しかったけど
普段の講義ではそれほどキツさを見せないのに対して
こちらの法学部長は普段の講義が厳しかった。

授業が始まると教室を締め切ってしまい、遅刻すると教室に入れない。
授業中は一切の私語厳禁で、少しでも喋っている学生がいると即座に退出を命じた。
慌てておしゃべりを止めても「出ていけと言ったら出て行きなさい!!」
と、つまみ出す光景を見てホントやべえなこの人と思った。

とても謹厳実直な人で、ある時、風邪をひいてマスクをして講義に臨んだことがあって
マスクをしてマイクで喋られても全く話が聞こえなかった。

苗字に”熊”が入っているほど厳しいから
僕なんかからしたら絶対避けたい人なんだけど、意外なことにこの教授のゼミは志望者が多かった。
民法で法学部長ということもあってそのゼミにいれば就職や公務員試験にも(?)有利という話で。
みんなよくやるよね。つくづく日本はマゾ社会だと思った。


③とても面倒な語学の講師
語学選択ではドイツ語を選んだ。
当時は中国の経済成長が盛んになり出した頃で中国語も人気だったけど、
保守的な僕は法学部と言えばドイツ語だよな的にドイツ語を選んだ。
フランス語だと何だかフワフワしすぎてひどく難しそうで。

ドイツ語の講師の一人が文学部の田畑だった。
この講師の名前だけは忘れもしない。

大橋巨泉の若い頃といった風貌の男性でありながら
ツンツンしていてどこかオネエっぽさがあり
何故か僕にネチネチと絡んでくる嫌なヤツだったから。

Frau Freundだったかを「女友達」と訳したら

「今時、オンナトモダチなんて言いますかね!」

と難癖をつけられた。

回りの友人に「言うよな」「言うやろ」
ヒソヒソやってると、田畑は少し考えて

「まっ、いいでしょ」

だと。
何がまっ、いいでしょだバカヤロー。
勝手に絡んできやがって。


当時、法学部棟が新しく高層ビル化されていたのに対して
文学部棟は低層の古い施設のままだったことについて
僕ら法学部生にネチネチと嫌味を言ってきた。

「法学部が司法試験合格者を何人出しているかなんか知りませんけどネ!」

そのくせ、文句言いながら、いつも法学部棟のエレベーターを使っていて
扉が開いたら田畑がいてゾッとすることが何度かあった。
エレベーターで2階まで上がり、連絡通路から文学部棟に移動していたのだ。
プリプリと尻を振りながら文学部棟へと消えていく、
その尻を思いっきり蹴り上げたかった。

大学というところにはこれほど性根から腐った人間がいるもんだなと思った。
単位は素直にA(優)よこしたけど。


④中華雑炊に殺されかける
・・・そんなことってあると思う?
しかし実際にあったのだ。

昼食に大学近くの中華料理屋で中華雑炊を注文したら
何故か僕の頼んだ中華雑炊だけがなかなか出てこない。

「具材から買い出しに行ったんちゃうか」

ようやく出てきたと思ったら量がハンパなく多くて、
しかも熱すぎてなかなか食べられない。
昼の講義がいよいよ始まる時間が迫って来て
友人に待ってもらうのが申し訳ないけど、
掬っても掬っても沸いてくるようで一向に減らない。そして熱い。
焦りもあって汗だくで、結局残してしまった。

中華雑炊だけは迂闊に注文してはいけないと肝に銘じた。

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Author:E
数年勤めた会社を辞めて、某資格受験生活に入るも挫折したまま三十路をいくつか超えた無職。いい加減何とかしたいが、まだ何とかなると余裕があったりで、資格の勉強+ケータイ無しの直感のみでせどりする日々。あくまで、息抜き・趣味・リハビリとしてのセドリなので、売上はショボいです。

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