寓話

相変わらずウェルズの本が見つからない。

「タイム・マシン」(角川文庫)すら拾えない。
昔は当たり前のように108円棚で見かけていたのに。

ひょっとすると私がそうであるように
空前の(初期)SFブーム、ウェルズブームの到来している方が他にも世にいるのかもしれない。

折角戻って来た読書欲がもったいないので
仕方なく他の似たような本で満たそうと思い・・・


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動物農場(ジョージ・オーウェル/角川文庫)

本体価格476円がブックオフで360円もした。
表紙はここに掲載したものとは違って古いバージョンだが
古い版のほうが良い。

ジョージ・オーウェルと言えば
村上春樹の「1Q84」が出版された頃に「1984年」を読んだ。

そこからオーウェル=SF作家のイメージが出来上がってしまい
まことに勝手ながら本作もてっきりSF作品と思い込んでいて
農場にUFOが現れて動物を連れ去り
洗脳された動物たちが人間に襲いかかって・・・といった話を想像していた。

しかし、全く違った。
かすりもしていない。


動物による寓話て・・・
もうすぐ41歳になる身で今更こんなもん読めるかい!
正直なところ読み始めはガッカリした。

ところが我慢して読み進めているとこれが実に面白い。
オーウェルの文章が上手いのか翻訳が上手いのか
文章の隅々、端々まで引き込まれて読んでしまう。

そして薄々、というかわりと早くに気づかされるのだが
これは旧ソ連の共産主義を風刺しているのだと。

そう言えば「1984年」も同じテーマだったから、
SFから衣替えして動物寓話に仕立てたのが本作ということになる。
それだけ当時(1945年)のオーウェルにとっては(オーウェルに限らないが)重要な問題だったのだろう。

同書に掲載されている開高健の説明を待つまでもなく

ジョーンズ→ロシア皇帝
メージャー爺さん→レーニン
ナポレオン→スターリン
スノーボール→トロツキー
風車→計画経済(5か年計画)
犬→軍隊、警察

これぐらいは見当がついた。

開高健はさらにこれをナチスドイツに当てはめてみせるが
2016年の極東の島国に生きる自分には
どうしても近隣の某国のことが頭に思い浮かんでならない。
風車→核ミサイルだとかピタリとハマり過ぎて。
悪意はないのだが・・・

対岸の火事だと笑っているばかりでもいられない。
日本の将来だって「動物農場」そのものだと
笑い者にされる状況が出現しないという保証はどこにもないのだから。

「動物農場」
これは21世紀、いや22、23世紀と読み継がれるべき警世の書である!

・・・少々気持ちが昂じて妙なノリになってしまいました。
オーウェルが上手すぎてそうさせるのです。

探したけれど見つからないのに

引き続きH・G・ウェルズの本を探しているのだが
本当に見当たらない。

ブックオフ他何軒も回って探しているのに
全く見かけないのだ。

どうでもいいと思っていた時にはあれだけ普通に見かけたものなのに
欲しいと思った時には途端に見かけなくなるこの不思議な現象・・・

このままではいつまで経っても読めそうにないから
Amazonマーケットプレイスで注文した。

某大手業者からすぐに届いたが
これがまた正体不明の嫌な汚れがチラホラあって。
何なのコレ・・・

捨てて注文しなおそうかと思ったけど
2冊分注文となると新刊1冊と同じ金額になって
安物買いの銭失いの非常にバカげた話になりそうだったから
微妙な汚本で我慢することにした。
そのうちブックオフで108円で見かけたら買い直せばいい。

今回、届いた汚本というのがこちら。

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宇宙戦争(H.G. ウェルズ/創元SF文庫)


ウェルズの宇宙戦争と言えば
大昔、アメリカのラジオ放送でパニックを引き起こしたというエピソードが有名だけど
中学時代に愛読していたパソコン情報誌「ログイン」のコラムでこれを知って
そこからお馴染みのフワッとした勘違いの原因になった。

ウェルズと宇宙戦争・・・

いつしかオーソン・ウェルズが宇宙戦争(原題:The War of the Worlds)の原作者だと何となく思っていた。

ハーバート・ジョージ・ウェルズという名前は知らず
オーソン・ウェルズなら雑誌の広告でよく見かけたもので・・・。


イギリスの片田舎の平穏な日常が火星人の襲来によって破壊されてゆく。
それは間もなく確実に大都市ロンドンに及ぶのだが
今と違ってまどろっこしぐらいとにかく情報伝達の遅い時代で
つい「天空の城ラピュタ」に登場するロボット兵を思い浮かべてしまうような
熱線による徹底的な破壊がじわじわ広がりゆく様と
それを待ち受ける牧歌的で緩慢な市民生活が印象的に描かれる。

本作品の最大の読みどころはやはり第2部、砲兵との再会。
火星人に対抗するための優生思想を雄弁に語る夢想家に見切りをつけてロンドンへと向かう・・
ここでH・G・ウェルズは何をどう考えていたのか興味をそそる。

H・G・ウェルズの諸作品も著作権が消滅していて
ネット上に英語版(つまり原著)が無料で公開されているようだ。

油断ならぬSF

先日、ブックオフの棚で見かけてふと気になった本。


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モロー博士の島(H・G・ウエルズ 東京創元社)

SF(サイエンスフィクション)って空想趣味のマニアが巣食ってるイメージがあって
踏み込みづらい世界で、これっぽっちも関心を持ったことがなかった。

SFと言えばとりあえずアシモフという知識しかなかった。
もちろんアシモフの作品なんて一冊も読んだことはないのだが。

だからこの「モロー博士の島」も何となく気にはなりつつ
「SFなんて読む気になるかなあ」と散々迷った。
たかだか108円の古本なのに。

値段の問題だけではない。
ウェルズと言うと以前に「透明人間」(岩波文庫)をチラッと読んで
これが面白くなかったこともあったのだ。


・・・ところが!

この創元SF文庫版「モロー博士の島」は大当たりだった。
私にしては珍しことにハマり気味に読み耽ってしまった。

これは翻訳が素晴らしかったからだろうか。
岩波文庫は訳が悪いとよく言われるが
翻訳次第でいくらでも古典は蘇ると思い知らされた。
(※岩波文庫の訳は何十年も昔のものばかりで
読む側にとって同時代的な言語感が伴わないのがデメリットでありメリットでもある)

もちろん、原典が面白くなければ
どう転んでも翻訳だけで持っていけるわけがない。

SF草創期の古典だけあって
プロットは前半、後半とはっきり分かれていて大まかなで単純なのだが
ウェルズという人間が実に知的で歴とした思想家であり
その思想が色濃く反映されていることが面白味につながっている。

後半部分を読み進んでいくと
何となくキリスト教を風刺しているような気がしてくる。

しかし僕もキリスト教について大した知識がないから
ひょっとしたらこれはユダヤ教のことでは?とも思われる。
時代的にも反ユダヤ主義に染まっていたことはあり得るし・・・

やはりここはキリスト教が正解らしい。
ユダヤ教と思った奴(笑)

ウェルズは進化論を掲げるダーウィン主義者であり、
科学的社会主義者だから唯物論的なのだ。

ウェルズの思想については知識的な不足から立ち入りできないけど
この考え方を踏まえて見直すと「モロー博士の島」は
しっかりとした著者の思想がストレートに反映されていて
それが面白さ生み出しているのだと妙に感心してしまった。


「モロー博士の島」には岩波文庫版もあるが抄訳らしい。

創元SF文庫版は品切れのまま放置状態。
せどり的にはそのほうがウマミはあるけど
ヘンテコな映画化表紙カバーを作り直しての再刊が望まれる。

大和路せどり紀行~最終回


世間がGWに突入しているとは気づかなかったが
気温も高いと聞いて、久しぶりに奈良は橿原のブックオフまで行くことにした。

すっかり寒さに弱くなった身には
奈良の寒さは辛すぎるから
冬季どころか大阪でまだ肌寒さを感じるようだと危ういのだ。
しかし今日ぐらい気温が高いときっと大丈夫に違いない。

途中、下校する中学生の群れを見たせいで
やはりGW感が無い。本当にGWなのだろうか?

大和高田店に寄るか一瞬悩んだけど
どうせ大したもの拾えないから橿原店だけに決めた。

ルートは頭の中ではほぼ横移動一本で辿り着くはずだが
あまりに久しぶりすぎてチョイチョイ道を間違って時間ロス。

1時間少々で橿原店に到着した時にはやや頭痛がする。

・・・30分程度で店を出る。
目ぼしい物は何にも無かった。
一年ぐらい前に来た時に見かけた本やDVDがまだあったり。


あまりに早いし折角ここまで来たのだから
大和高田店か三洋堂書店の何とか店かに寄って帰ろうかと
大和八木の街中をウロウロ走るけど
大和高田店→橿原店の道順は何となくわかるのだが
逆順になるとさっぱりわからない。

以前に一度だけ寄ったことのある三洋堂書店すらどこにあるかわからない。
だからもう素直に帰ることにした。

今回も原付で大和高田バイパスを走ったけど
違和感ありまくり、どころか高速感覚で飛ばしてゆく車が多くて恐怖を感じる。

そして何よりお尻が痛い。
近頃すっかり原付シートに長時間座ることが無かったせいか?

こんな辛い思いをしてまで手ぶらで帰るとは
一体何しに来たのだろう。

そんな疑問を抱きつつ
大阪に戻って一店だけブックオフに寄ってみたら
なかなかよさげな本を一冊だけ拾えた。

しかしこれがまた売れない。
拾えないことよりも、Amazonもヤフオクも
年々売れ難くなっていることのほうが切実な問題だ。

帰宅してメールチェックして
やっぱりひとつも注文が無いとドーッと疲れが増す。

もう奈良には行かない。
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