あの書店がついに・・・


最寄りのバス停そばの書店がついに閉店した。

30年ぐらい前に出来た小さな書店で
最近は店頭の雑誌スペースも空いたままだったけど。

当時愛読していたパソコンのゲーム雑誌「ログイン」をこの店で買い、
坂の上のローソン(ここも数年前に閉店)でポテチと飲み物を仕入れて
土曜の昼をまったり過ごすのが至福の時であった。

みんながクラブ活動で死にもの狂いで筋トレしたり学校の周囲を走らされているというのに
自分だけこんなことしていては将来世の中のはみ出し者になるやろな、
そう思いながらではあったけど。
そして案の定そうなってしまったけど(笑えない)。

この書店ではよく本を買ったものだが
万引きに対する警戒心がそらもう強いのには困った。


客(つまり僕)が棚から棚に移動する度にレジ内の店主も体の位置を少しずらして、
棚から本を抜く瞬間瞬間を常に監視し続け
少しでもおかしな行動を取りようものなら(例えばカバンに入れるとか)
即とっ捕まえてやろうという魂胆なのだ。

もちろん万引きするのが難しいということではなく
僕は200%万引きなどしない人間であるどころか
一旦店に入ったからには何か買わずには店を出づらいという有難い消費者であり
それなのに万引き予備軍としてガチガチに監視のプレッシャーを受けるのでは
めちゃくちゃシンドイし、そもそも本選びに集中出来ないのが何とも・・・。

その後、近所に当時最先端だった本とCDの複合型書店がオープンしたので
店主の万引き監視の辛さから、こちらの書店には通わなくなった。

複合型書店は広くて立ち読み客も多いし、ゆったり出来たのだが
その万引き警戒の緩さのせいか数年で閉じてしまった。

浪人生から大学生にかけて、再びバス亭そばの書店に寄って本を買うようになった。
バイト帰りにここでちょっとした文庫本を買って帰るのが楽しみだった。

浪人時代は山村美紗
大学一回生で横溝正史
二回生で島田荘司ほか新本格ミステリの類
三回生の頃が内田康夫(結局旅情ミステリーが好きなのか?)

中学時分ほどでないものの、相変わらず万引き監視体制は続いていて
少し懐かしく感じたものだ。

大学を卒業して以降は
店の前を通ることはあっても寄ることはなかった。

そしてこの出版不況の波に太刀打ち出来なかったのか
それとも高齢になった店主も万引き監視にほとほと疲れ果てたのか
ついに閉店の日を迎えることにはなったが、よく頑張ったほうだろう。
ここ20年の間に近隣の中小書店は次々に消えていったのだから。


しかし一店だけ、何故か昔からずっと生き延びている書店がある。
隣の校区にあって、大通りに面してもなければ、ちょっと込み入った場所にあって
そこに書店があるとは地元民でもなければまず気づかない。

中学生の頃、その書店に一度だけ入ったことがある。
ファミコンのゲーム雑誌「ファミコン通信」(”ファミ通”)が「ログイン」の兄弟誌であった
ことから、久しぶりに目を通しておこうかとレジに持って行ったところ、
店主のオッサンに「中学生がこんなもんばっか読んで・・・」
そう面と向かって嫌味を言われた。

中学生でもれっきとした客なんだし、顔なじみでもないのに、こういう絡み方してくるか?
たまたまファミ通が懐かしくて読んでみたくなっただけだというのに。
しかもそれなら売らなきゃいいのに、結局代金は受け取りやがった。

さすがにカチンときて、家帰って成績表取ってきて見せたろかと思ったんだけど
このテのオッサンに限って次は「学校のテストの点だけ良くてもアカンのやで」だろ?

それ以来、こちらの書店には近づいたことすらないのだが
こういうちょっと頭のネジのイカれた店主の書店に限って生き残っているのだから
憎まれっ子世にはばかるとは本当に、本当によく言ったものだ。

刷り込みの失敗例


刷り込み(すりこみ、imprinting)とは、動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種。 刻印づけ、あるいは英語読みそのままインプリンティングとも呼ばれる。



一浪して進んだ○×大学への拘りは
小学生時分のそろばん塾で刷り込まれたものだったが
それより早い時期に、目指せ東大!が刷り込まれるチャンスもあった。


小学校から高校まで同じだったN本君(幼稚園も同じだったかも)。
誰が見ても秀才でちょいがり勉で透明感があって貴公子然とした印象を受けるだろうし
また実際にそういう人となりだった。

彼とは小学2年生から4年生まで同じクラスになり
小学校3年の頃、一時すごく仲良くなり、彼の家によく遊びに行った。

何より驚いたのは、彼の家に行く度に
N本君の母が必ず手作りのクッキーやケーキをおやつに出してくれること。
何もかもに品の良さを感じさせるご家庭だった。

その日もN本君のお宅にお邪魔して
テーブルに腰かけて手作りのおやつを戴いていたところ
N本君が突然大きな声で言い放った。
「一緒にトウダイ行こな!」

トウダイ?
この辺に灯台なんかあったっけ?

N本君の母も優しげに微笑んでいるし
ちょっと意味がわからなかったのだが
「う、うん・・・行こう行こう」
とりあえず相槌だけ打っておいた。

N本君は当時から、まだ小学生でありながら東大を意識していたのだ。
そして一方、当時の私は東大なんてものは全く知らなかった。

N本君はご家庭も物心ともに裕福で、小学校とは別に明確な勉学の方針があった。
ただただ見るもの聞くもの珍しくて
小学校教師たちの手の平の上で踊らされているだけの私とは根本的に違ったのだ。

しかし今思えばこの時が、自分の意識の中に東大というものが刷り込まれる唯一のチャンスだった。
そして真に残念ながら、東大→灯台というオッサンの洒落じみた痛恨の入力ミスによって
刷り込みは失敗に終わったのだ。

この刷り込みに成功していれば、もっと学習机に座る子になったかも・・・


N本君は小学2年の時に
国語の授業で「ちからたろう」の朗読をした際に
金ぼう(かなぼう)をきんぼうと読んでしまい、
皆に大笑いされ真っ赤になって泣き出したことがあったけど
東大を意識していた子だからその悔しさ、怒りたるや
他人には計り知れないものがあったのだろう。

N本君とは小学生以後、同じクラスになることもなく疎遠になり
高校の自転車通学の行き帰りに話す程度だった。

その後もN本君はしっかり勉学に勤しんで
一浪して京都大学に進んだと聞いた。


そんなN本君だが
高校時代の彼は、女性の性質について
少々過激なる説を頑なに主張していたのが印象深い。

小学校の頃から誰が見ても秀才でがり勉で透明感があって
貴公子然としていたN本君にはあまりに似つかわしくない見解に、
隣でチャリンコ漕いでいてちょっと引いた。

N本君があの危険な説を高校以後もずっと持ち続けていたら
かなりの確率でいつか刑事事件沙汰になるかもしれない。
賢明なN本君のことだから、よもや実践することはあるまいと信じたいのだが。

小学生の頃から東大を目指しひたすら勉学に励む一方で
そのような過激思想を胚胎させていったN本君・・・。

やれ東大だ、やれ京大だと勉強しすぎるのも考え物ですな。


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